カノン大戦α

〜戦場を駆ける奇跡〜




第3話

絆と言う名の繋がり

 

 

 

 

「では作戦を説明します…。まず、敵MSを各個撃破、
その後敵母艦への攻撃を開始してください。戦闘時の対応は
お任せします」

基地からそのまま出撃するわけにもいかないので
作戦地域までミデアが送ってくれることになった。

「茜ちゃん、質問があるんだけど良いかな?」

名雪が手を上げながら言う。

「はい、なんでしょう?」

「皆、まとまって行動するの? それともいくつかに別れるのかな?」

「最初はいっしょに行動してください。敵が別れて来たりしたら
そのつど分散してください。基本は先ほどの演習の組み合わせでお願いします。
沢渡伍長は相沢軍曹と組んでください。舞軍曹は倉田軍曹、
水瀬伍長は月宮伍長と…よろしいですか?」

「わかった。俺と真琴が中央、舞が左、名雪が右、
これでいいか?」

「私はいいよ」

「…悪くない」

「では各自機体に乗ってください。なお、
戦闘中、緊急の指示はキャニーから伝えます」

里村さんの言葉に頷き、機体へと乗りこむ

 

「がんばりましょう、マスター」

コックピットが閉まるとすぐ傍にキャニーが出てきた

「ああ、ひとついいか?」

「なんですか?」

「マスターってのは止めてくれないか? 好きじゃない」

「わかりました。祐一さん」

「その方がいいや」

『相沢軍曹、皆さん、降下地点です。ご無事で…』

里村さんからの無線が入る

「よしっ、相沢祐一、いきま〜す!」

掛け声と共にミデアから降下する

他の皆もついてきている

降下地点から先は遠くに山の見える
自然にあふれた場所だった

 

 

「敵との距離、約15キロまもなく索敵範囲内です。
敵母艦情報確認、巡洋艦エンドラ、悪くない性能を持っています。
 っ! エンドラよりMS発進を確認っ! 数は5機、中央1、左右に二機づつです」

「聞こえたか? みんな、そのまま三つに分散、迎撃するっ!」

「了解だよ〜」

「ボク、がんばる」

「…まかせて」

「やりましょう」

「さっさと行くわよ」

みんなの声を聞いてから改めて俺は語る

「…必ず、生きて帰ろうっ!!」

『うん!』 「…わかった」 

 

「敵MS情報確認! 左右に展開しているのはズサ、多数のミサイルを持っています。
近距離が苦手ですね。中央…っ、ガルスJっ! 気をつけてください、手ごわい相手です」

「狙われるぞ、止まらずに動き回れ。行くぞっ!」

演習を思い出しながらゼロを加速させる

 

〜名雪&あゆ〜

「いよいよだね、あゆちゃん」

「うん、祐一君のためだもん」

二人のモニターにズサが映った

「あゆちゃん、援護お願い」

「まかせて」

名雪は機体を揺らしながらミサイルをかわす

「女の子だからってなめないでよ?」

「名雪さん、始めるよ」

あゆの援護が始まり、当たりにビームの線が飛び交う

ズサの一機に隙が出来た

「そこっ、当てるよ!」

名雪の撃ったライフルは2発3発とそのズサに襲いかかる

一発が頭部に当たりカメラをつぶした

「ボクだって、戦えるんだよ」

続くあゆのグレネードが鈍くなった一機に直撃、四散させた

あゆはもう一機にもグレネードを撃つことを忘れず、
足止めに成功した

「ナイス! あゆちゃん、そのまま止めてて」

名雪は叫ぶとモニターのズサに集中し、
ねらいを定める

「え〜い!」

あゆはライフルを連射し、ズサを狙い撃つ

あゆの弾の何発かはズサの足を撃ちぬき、ズサの動きが止まった

「とどめだよっ!」

名雪の一撃は正確にコックピットを貫いていた

 

『やったねっ!』

ズサの爆発を背景に二人は器用にジェガン同士で手を握った

射撃成績抜群の二人のコンビ初の戦果だった

「エンドラに向かおう?」

「そうだね」

頷き合って名雪とあゆは機体をエンドラへと向けた

(人を殺しちゃった…でも祐一と一緒に生きるんだもん)

名雪はその顔を苦痛にゆがめる

「名雪さん、どうしたの?」

「え? 何でも無いよ…」

あゆは不思議に思いながらも通信を切る

 

 

 

 

〜舞&佐祐理〜

 

「舞、敵さんが来たよ〜」

「佐祐理は後ろで援護をお願い…」

「がんばってね」

舞は頷き返しサーベルを構える

すでに舞には敵しか見えていなかった

「舞っ、来るよ」

佐祐理の言葉と共に敵方向からいくつもの
ミサイルが飛んでくる

「…ねらいが甘い。シュミレーターのほうが強い」

舞はつぶやきながらかわし続け、ズサとの距離を詰める

未だ手のサーベルは刃を出していない

機体の性能もいいはず、パイロットの腕も軍人なのだから
悪いはずはない。慣れていないのだ…

シュミレーターで飽きるほどみたものと同じ
相手の戦い方を見て、シュミレーターしかやったことが
ないのだろうと舞は判断した。

「・・・っ!?」

もうすぐ舞の間合いになるところで

舞は下がらざるを得なかった

急激なGに耐え、飛びのいた舞に向かって
先ほどとは明らかに違う量のズサの放った大量のミサイル達が迫りくる

かなりの数はあらぬ方向へ飛んでいくが
それでも結構な数が舞にも襲い掛かる

「舞っ! シールドを構えてっ!」

響く佐祐理の言葉に舞はシールドを
構え、来るであろう衝撃に備える

「私の友達は傷つけさせないっ!」

普段の佐祐理からは想像もつかない
真剣な顔をして佐祐理はライフルを連射する。

舞に向かうミサイルの全てに
吸い込まれるように佐祐理の放ったライフルは
飛んでいく

重なり、響く大きな爆音

舞い上がった煙の中、

「舞、大丈夫?」

いつもの笑顔で舞に微笑む佐祐理

「・・・ありがとう」

これまたいつもの無表情で舞、

「さあ、早く祐一さんの所へ行きましょう」

コクン

舞はうなずくとサーベルの刃を出し、構える。

佐祐理も同じように刃を出して構える。

「・・・煙が晴れたら行く。佐祐理は左・・・」

いまだ晴れない煙の向こうにいる敵を見据え
舞がつぶやく。

錬度の低い敵たちは判断に困り
煙が晴れるのを待っていた

「うん、まかせて」

二人とも静かに息を整え
晴れるのを待つ

そして煙が流れ、二人はズサの姿を確認する

一気に加速する二人のジェガン、

ズサ達はとっさのことに対応できない。

「はっ!!」
「えいっ!!」

二人の息の合った気合の一閃は
ズサのパイロット達がそれを認識することなく
コックピットごと切り裂いていた

(すいません、でも大切な人を守りたいんです)

佐祐理は胸の中でつぶやく

「行こう、舞」

「・・・(コクン)」

二人はそのままエンドラの方向へ機体を向ける…

二人の背後でズサの爆発が起きていた…

 

 

 

 

〜祐一&真琴〜

「キャニー、敵の特徴は判るか?」

「はい、ですが手元のデータとは食い違う個所が
いくつかあります。恐らく改造を施していると思われます。
どのような攻撃が来るかわかりません。油断しないでください」

「でもたった一体だよ? 簡単なんじゃない?」

「気をつけるに越したことはない。それと、システムは
きちんと凍結してあるか?」

「はい、祐一さんの希望どおり普段は凍結してあります。
なお、発動の際のキーワードは『約束』です。口に出しても
強く思うだけでもこちらで読み取ります」

「わかった。真琴、気をつけろよ」

「相沢さん、敵MSから通信が来ました。つなぎますか?」

通信?? 戦闘中にか…

「とりあえず繋いでくれ」

キャニーは俺の言葉に応えモニターに通信相手を映す

画面に出たのは銀色の髪をした男だった

なぜかバラを胸ポケットに刺している

「貴公が今回の代表者と思われるが、違いは無いか?」

「ああ、そうだが?」

俺は少し引きながら答える

「この短時間に部下を倒されてしまった。いい部下を従えているようだな」

「それは違う!」

「何が違うと言うのだ?」

ぽかんとした相手に向かって俺は言い放つ

「部下なんかじゃない、大切な…命をかけて守る価値のある
絶対に失いたくは無い大事な人達だ」

男は俺の言葉を聞くと凛々しい顔つきになり

「良くぞ言った、ここまで戦いたいと思ったのは久しぶりだ。
我が名はマシュマー・セロ、いざ勝負っ!」

「おうっ! 俺の名は相沢祐一、真琴、手を出すなよ」

なにか言っている真琴に釘をさし、俺はサーベルを構え
ガルスJに向かい加速する

「こいつ、今までとは違う…、けどっ!」

俺は相手から伝わる気迫を押し返すように
サーベルを突き出す

ゼロとガルスJのサーベルがかみ合い
激しいスパークを周囲に生み出す

「ぬおっ、やる…」

「これぐらいでっ」

俺は相手の動きが緩んだのを見て
さらに踏み込む

「甘いぞ、祐一っ!」

ガルスJはすばやく体制を立て直すと
指から小型のミサイルを連射する!

「わああっ!?」

さすがに避けきれず、かなりの数を食らう

小型なためか幸いにも一撃必殺にはならなかった

だが…

「祐一っ! 起きてよっ!」

「祐一さん、起きてくださいっ!」

コックピットに二人の声が響き渡る

衝撃で気を失った祐一は反応しなかった

「成長した姿を見たかったぞ。これも戦いだ」

止めをさそうとするガルスJに向かって真琴は
させじとライフルを連射する

だが、マシュマーは軽くかわすと

「一対一の戦いに水を差すとは少女でも許さんっ!」

険しい顔をしたマシュマーは真琴のジェガンに向かい
正確にライフルを放ち、四肢を貫く

「いやぁぁぁぁっ! 動いてよ、祐一を助けたいの!」

反応の無くなったスティックをガチャガチャと動かし
真琴が泣き叫ぶ

「ゆういちぃぃぃぃっ!」

ゼロの頭上でサーベルを構えるガルスJ、

「っ! コード認識! システム起動しますっ!」

「なにっ!?」

完全に切り裂いたはずのタイミングからゼロは
脱出していた。

「助かった、真琴…」

「うぐっ、よかった〜。心配させないでよ…」

笑顔の祐一に泣き顔で、でも笑顔で真琴も答える

「ゼロ、お前の力を借りるぞっ!」

祐一の叫びに答えてゼロの目が輝く

「なにをするのかは知らんが、ここまでだっ!」

マシュマーが再びライフルを撃ってくる

祐一は避けようともしない

直撃のはずのビーム達は直前で四散する

「これがアブソリュートシールド…」

頭に流れてきたイメージそのままに念じた結果出てきた
ものに一番驚いたのは祐一のようだった

「そうです、ゼロにはサイコミュだけでなくいくつもの
精神感応用のシステムが積まれています。私でさえ
正体が調べられないものも、その内の一つです」

搭乗者の防御意思に反応し、発動するバリア
それがアブソリュートシールドのようだ。

「なんなのだ? あの光の膜は…」

つぶやくマシュマーの視線の先には淡いピンクの膜に包まれた
ゼロの姿があった

「こんどはこちらから行くぞっ!」

先ほどとは別の機体のような加速でゼロは
ガルスJに向かう

「また繰り返す気か? なにっ!? うぉぉぉっ!?」

同じようにかみ合うサーベル、だが今度は
圧倒的にゼロのほうが押していた

そしてガルスJのサーベルがオーバーヒートを起こす

そのままの勢いで右半身を切り裂いていた

「くっ! また会おう!」

すんでのところで脱出したマシュマーのセリフが
当たりに響き渡った

 

 

 

「なあ、キャニー? 俺の力っていったい??」

「私にもわかりません。ですがNTなわけではないようですね。
今まで確認されたどの波動パターンとも類似点がありません」

「そんなことより、いいの? みんなエンドラだったかに行ってるんじゃない?」

真琴が横から突っ込む

「そうだったな、あれは……」

視線を向けた向こうに緑のエンドラが飛び去っていた

そして…

「祐一〜」

「疲れたよ〜」

「あははーっ、大丈夫ですか〜?」

他のみんなが続々とやってくる

「何とかな、帰ろうか?」

俺の言葉にみんな頷き、ミデアへと向かう

 

 

 

「お疲れさまです。さあ、東北支部に帰りましょう」

ミデアのスタッフが用意してくれたココアを飲みながら
改めて無事でよかったと思った

「うぐぅ、熱い…」

「あゆちゃん、大丈夫?」

「猫舌でしたか、すいません」

「ううん、大丈夫」

俺はそんな光景を見ながら少し考えていた

(今回のシステムは前とは感じが違った…、自分から
 意識して使ったからか? それに起動中にずっと傍に
 真琴を感じた…)

俺が見つめているのに気がついたのだろう
真琴が寄って来た

「なに、祐一?」

「いや、別に…」

真琴は不思議な顔をしてみんなのところへ戻っていった

(まだいろいろありそうだな…)

 

こうして俺達の初陣は終わった…
いくつもの謎を残して…

 

 

続く

 

次回予告

帰った祐一達を待っていたのは秋子さんの驚くべき報告だった
『俺達だけで独立部隊を!?』

なんだかんだと慣れていく祐一達、だが最大の
困難が彼ら達を襲う…

次回

「戦いの意味、前編」

 


後書き

ユウ「なんか、書いたときの愚痴コーナーに
   なってる気がするな…」

真琴「そう? それより私が活躍してないじゃない!」

ユウ「甘いっ! 今回は祐一君の力を発動させる
   キーパーソンが必要だったのだ。真琴はそれに選ばれたんだぞ」

真琴「えっ? じゃあもしかしたら私達の適性も変わっていたかもしれないの?」

ユウ「ああ、栞は激しい戦いに耐えるだけの体力がまだないしな。
   最初は全員パイロットだったんだがサポートにいてもいいだろうと
   変えたのだ。そしてお気に入りの真琴が祐一の最初の覚醒の
   鍵になったのだ」

真琴「真琴は役に立ったんだ?」

ユウ「これからもみんながんばってもらう。次回はつらいかもしれないが…」

真琴「痛いの?」

ユウ「心がな…、この作品のお前達は普通なんだ。奇跡を体験しただけの
   普通の少年少女なんだ。それ故に起こる壁がある。誰だって可能性のあることがな…」

真琴「私は負けないっ!」

ユウ「おうっ、がんばってくれ…」