カノン大戦α

〜戦場を駆ける奇跡〜




戦いの意味前編

 


なんとか初陣を勝利で飾り
戻ってきた俺たちを待っていたのは
秋子さんの驚くべき発言だった

 


『独立部隊!?』

俺たちは声を合わせて驚く

「そうです。祐一さん以下8名は別の支部へ
出張するシャイン・シーズンに変わって
ここの独立部隊になってもらいます」

「えっ、浩平たちどこかへ行くんだ?」

「ああ、ほんとはもう少し鍛えてからのほうがいいんだが
しょうがない。ちなみに俺たちはアメリカへ行く」

「アメリカって何しに? 新兵器でもできるのか?」

俺の冗談交じりの言葉に浩平は頷き

「そのとおり、詳しいことは知らんが、ゼロの後継機や特化能力を
持ったガンダムタイプの試作をしているらしい。そこの護衛だってさ」

「そうか、がんばれよ」

俺が差し出した手を取り

「お前もな…」

浩平はここで言葉を止め、向こうで騒ぐ女性陣を見ると

「これからだ、お前が試されるのは…」

「えっ? それはどういう…」

「一つだけ言っておく。支えきれっ!」

突然の大声に何事かと振り向く名雪達

「なに、がんばれって励ましてたのさ」

浩平の言葉に名雪達は納得したようであった

だが…

見ると長森さんをはじめとするシャイン・シーズンの彼女達は
なにかわかっているようだ。真剣な顔をしている

一体なんだろう??

 

結局その理由は教えてもらえぬまま浩平達は
三日後、アメリカへと旅立った

 

 

 

 

その日、シュミレーターで浩平達のデータと訓練中、俺達は秋子さんに呼び出され会議室にいた

 

「皆さんにお知らせがあります。五時間後に我々は
連邦極東支部に行きます。理由はゼロが本来は
極東支部に届くはずだったからです」

「つまり報告に行くわけですか?」

俺の言葉に秋子さんは頷き、

「そのとおりです。難航していたパイロットも見つかりましたから」

そう言って俺のほうを見る

「それに独立部隊になるのですから母艦が必要です」

そう言えば浩平達が乗っていったガウ(前大戦の時にジオンから拿捕したものらしい)
以外じゃミデアしかないとか言ってたな

「そういう訳ですので各自MSをミデアに積みこんでください」

あれ?

「秋子さん、いいんですか? 基地を空にして?」

香里が質問する

そう今ここにいる戦闘員は俺達のみのはずだ

「平気です。ここはゼロのパイロットを探すために作られた
研究用の基地です。見つかったなら守りつづける必要はありませんから」

秋子さんはのほほんとして言った

「この三日で研究データや機材の搬入は終わりました」

「わかりました。みんな準備しよう」

俺の言葉に従い皆が動き出す

 

 

 

 

東北支部を飛び立ってからかなり、
もうすぐ極東支部というところだった

『秋子さん! レーダーに反応!』

『識別信号は?』

『連邦? いえっ、ティターンズです!』

暇つぶしにMSのところへ来ていた俺達の耳に
緊急放送が飛び込んできた

それと同時にミデアをメガ粒子の余波が襲う

『信じられない! 撃ってきました』

味方のはずのティターンズが!?

『少将、積んでいる機体を渡してもらおうか』

ブリッジに残っていた美汐が映像をまわしてくれた

映ったのは男だった。確かテレビで見たことがある

『あなたですか。バスク大佐…』

そう、ティターンズ結成のときに見たことがある

『もう一度言う、積んでいる機体を渡してもらおうか』

秋子さんはキッっとバスクをにらみ

『お断りします。人体実験までして自分達の力を強めようとする
ような人には渡せませんっ!』

はじめて見た。秋子さんの怒る顔・・・

『そうか、なら実力行使だな』

『秋子さん! 相手母艦アレキサンドリアからMS発進を確認っ!』

香里の引きつった声が響く

その言葉を聞き、

「秋子さん、出ますっ!」

俺は秋子さんに無線で話す

『ミデアでは振りきれません。頼みます』

秋子さんも緊張した様子で答える

「よしっ! ひとまず名雪とあゆはミデア達の護衛、残り四人で
敵を相手にする。二人とも任せたぞ」

俺達が機体を乗せているミデアの他にも
二機のミデアが編隊を組んで飛んでいるのだ

「まかせて、お母さんは私が守るよ」

「うんっ! ボクもがんばるっ!」

元気に返事をする二人に笑顔で答えゼロへと乗りこむ

 

最初のもっとも苦しい壁に向かって…

 

 

 

高度を下げたミデアから俺、真琴、舞、佐祐理さんの四人が降り立つ

 

〜祐一サイド〜

「キャニー、敵のデータは?」

「はい、うわぁ、えーとマラサイ6機、ザク�U改7機、そして
ガンダムマーク�U2機です。厳しいですね」

『まだわからないですよ。キャニーさん、敵の展開状況はどうなってますか?
こちらよりもゼロのほうがレーダーはいいはずです』

ブリッジから美汐が聞いてくる

「現在、マラサイ2機とザク5機、ガンダムマーク�Uとマラサイ4機とザクが2機、
ガンダムのほうは私達のほうを、マラサイとザクはミデアを狙っているようです」

『わかりました。相沢さんの作戦を変更します。
佐祐理先輩と川澄先輩は、あゆさんと交代してください。つまり
相沢さんと真琴、そしてあゆさんでガンダム達を、先輩達と名雪さんで
もう片方を相手に防衛に取り組んでください』

強敵には手駒の最強をぶつけたほうが生き残れる

そういうことだ

「了解、あゆ、真琴、行くぞっ! 相沢祐一、ゼロ、いきま〜す!」

「月宮あゆ、ジェガン、行くよっ!」

「沢渡真琴、ジェガン。出るわ」

俺が中央、真琴が右、あゆが左だ。
あゆは左利きだからな

 

 

「敵先頭MS集団が射程に入りました」

「先手必勝! あゆ、グレネードを囮に撃ちこめ!」

「わかったよっ、直撃よりも足止めだね」

あゆがグレネードを2発放ち、一発はザクの間に、
片方はマラサイ達の前方に着弾した

あわてつつも敵はこちらに弾を撃ってくる

腕が良いのか、前と違ってかなり正確に当たる

だがザクはダメージが大きかったらしくすぐに動きが鈍る

「真琴っ!」

「わかってるっ!」

二人の放ったライフルはザク2機を貫く

爆発を目くらましにマラサイ達へと迫る

 

 

 

〜ミデアサイド〜

『敵MS、来たわよ』

香里の言葉に名雪達は否応にも緊張する

(祐一、力を貸して)

名雪は離れて戦う大切な人のことを思った

 

「水瀬名雪、ジェガン出るよ」

「あははーっ、倉田佐祐理ジェガン行きますよ〜」

「…川澄舞、ジェガン発進…」

祐一のような口癖がみんな気に入ったようだ。訓練でも同じように
言ってから始まる

 

「水瀬さん、佐祐理と舞が前線に出ます。援護を頼みますね」

「任せてください。名雪でいいですよ、倉田先輩」

「こちらも佐祐理でいいですよ〜」

「くすっ、わかりました。佐祐理先輩」

名雪のモニターに加速するジェガンが映った

「…佐祐理、あれやる…」

「あれ? わかったよ、舞」

佐祐理は頷くと舞に自分のサーベルのエネルギーパックを渡す

 

双方が射程距離に入ったところで名雪の援護が始まる

何もない空間も撃つところを見ていると
でたら目に撃っているようで実はそうではない

避けることの出来る方向を制限し、狭めるために誰もいない空間にも
名雪はザクを直接狙いながらも撃っているのだ。あゆよりもさらに腕のいい
名雪ならではであった

「さすが名雪さんですね。負けていられません」

佐祐理は避けるザクに向かって同じくライフルを撃つ

名雪の援護の目的を見ぬけず、誘い込まれるようにザクにビームが突き刺さる

爆発、回り全ての動きが止まる

瞬間!

「せいっ!」

舞がすばやく近づき、エネルギーパックを直結してオーバーロードすることなく
大きく伸ばしたサーベルでザクを2機まとめて切り裂き、
返す刃でもう1機を切る

爆発に巻き込まれないようその場から離れる舞、

最後のザクが追いすがるようについてくる

連射するマシンガンが舞の機体の装甲を削る

だが、それも横から飛来したビームによって動きを止めた

一発必中、名雪の集中の一発である

 

残る敵はマラサイのみ、いくらかは被弾させられたものの

それも舞と佐祐理のコンビネーションで撃破される

 

撃破を連絡しようとした名雪達の耳に飛び込んできたのは

 

「真琴ちゃん? 嫌っ、…いやぁぁぁっ!!」

誰もが聞いたことの無いあゆの悲痛の叫びだった

 

 

〜祐一サイド〜

 

敵も馬鹿ではなかった

マラサイの前にガンダムマーク�Uが一機待ち構えていた

「さすが、お見通しか。でもっ!」

俺は立て続けにフォトンライフルを連射する

傍を通る粒子に装甲を削られながらもかわし続けるマーク�U

お返しとばかりにマラサイと共に撃ち返すライフルが
ゼロやジェガンの装甲を少しずつ削る

(エリート集団はうそじゃないか)

既に祐一の腕はガンダムでなければ避けれない鋭さなのだが
経験の少ない祐一にはわからない

しかし敵はこちらの強さに驚き、目の前の敵以外は撤退し始めた

逃がしてしまう…

祐一がどうするか考えていると

「あゆ、合わせてっ!」

「うんっ!」

真琴とあゆの放ったビームは
マラサイの頭部と融合炉付近を貫く

「当たった…脱出してね」

あゆは前のようにパイロットが脱出するものだと思っていた

だが、

『脱出できない!? うわぁぁぁぁぁぁ!?』

故障か周囲に最大出力で繋がっていた相手の無線から
断末魔の叫びが響き、あゆの前で爆発、四散する

それを見たあゆの中でなにかがはじけた

「うぐっ…嫌だよ。人を殺しちゃった…、ボクがこの手で…」

「あゆ?」

あゆの言葉の質の違いを感じた真琴があゆに話しかける

「真琴ちゃん? 嫌っ、…いやぁぁぁっ!!」

あゆが悲痛の叫びをあげる

そして祐一の頭の中に何かが入りこんでくる

 

 

 

(なんだ? 一体…?)

祐一の意識はそこで途切れた