カノン大戦α
〜戦場を駆ける奇跡〜
第九話
〜夕日の中の死闘〜後編
連邦残存兵力と協力してジャブローを脱出することにした祐一達
そこへ新たなる敵部隊が現れる
「艦長っ!! 新たな敵影を上空に確認っ!!」
「そんな…」
呆然とする美汐の視界の中、いくつもの黒点が空に生まれた
Nフィールドまで後わずか、もう目と鼻の先まで来たところだった
「グレイファントム転進っ! 増援部隊を正面にして後退しつつ
Nフィールドへ進行してください。ミデア脱出まで耐え抜きますっ!!
全サブメガ粒子砲およびミサイル、上方発射っ! メインは
引き続き地上部隊の方へ発射してください。
ハットさんに急ぐよう連絡をお願いしますっ!」
美汐の号令の元、グレイファントムから光が伸びる
そのほとんどが命中するも
「敵兵力、なおも増大中っ!」
徐々に敵MS達が近づいてくる
「データ照合完了っ! アーガマ隊との交戦データにあります。
ゾロ・アット30機、不明機26機ですっ!」
瞬間、ブリッジの目の前に1機のMSが迫る
「っ!! そんなっ!?」
光る敵の銃口
パアァァンッ!!
美汐はそんな音を聞いたような気がした
ブリッジに迫ったMSはピンク色のなにかに弾き飛ばされ、彼方へと吹っ飛ぶ
「あははーっ、大丈夫ですか〜?」
「倉田少尉っ!」
佐祐理はブリッジに近すぎるため爆破の危険のあるライフルを使わず
ミノフスキー・シールドでハエ叩きのように敵を横へはじいたのだ
「この艦は落とさせませんっ! 行きますっ!」
佐祐理はサーベルを構え地上の動きの遅いMSへと飛び掛る
「妹の技術の良さ、見せてあげるわっ!」
香里は佐祐理の動きをサポートすべく射撃をする
片手をヘリのローダーとして空中を浮くMSを狙い撃ち、
グレイファントムへの火線を減らす
マサキのサイバスターも追いつく
「くそっ、このままじゃジリ貧だぜ…おっと」
後ろから飛来したビームを避ける
「これはお返しだ。行けっハイ・ファミリアっ!」
「任せてニャ〜」
サイバスターから小型の物体が飛び立ち、
動きの鈍い空中の敵を撃ち落していく
「一体どれだけいるんだ??」
マサキがぼやくのも無理は無い。
いくら落としてもまだいるのだ
そしてグレイファントムはNフィールドへとたどり着き
ハットの部隊と合流を果たす
「もうすぐミデアの発進準備が整う。それまで頼む」
「わかってますよ。砲撃主、敵密度が高いところにメインを掃射っ!」
撃破を続けるものの、グレイファントムもその身を傷つけられる
「このままでは…」
「美汐〜っ!」
「真琴っ! 来てくれたんですね?」
「ごめんっ、少し追いつくのが遅れちゃった」
「お姉ちゃんっ! 大丈夫ですか?」
真琴と栞が追いつく
「二人とも、ハットさん達の護衛をお願いします」
『了解っ!』
手近なハイザックを撃破する
「感じる…動物たちの悲鳴が聞こえる。ごめんね、すぐに終わらせるから…」
真琴は目をつぶりながらつぶやく
爆発の後に真琴へと伝わる動物たちの思念
真琴の能力がそれを感じていた
「真琴さん、来ますっ!!」
「邪魔よっ、こないでっ!」
栞の言葉に我に帰り、そちらへと撃ち込む
森から出たばかりのマラサイを直撃、四散させる
「このままでは補給が間に合いませんね。ピンチです」
空を飛ぶオレンジの機体を相手にしながら栞がつぶやく
既に佐祐理達も弾薬が少なくなってきている
「艦長っ! 新たに上空から高エネルギーっ! 来ますっ!!」
「くっ…」
『やらせませんっ!!』
前回と同じく佐祐理のシールドが二条のメガ粒子を防ぐ
さすがにサーベルとしても使ってきたために出力が落ちる
鈍くなった佐祐理の機体へと数機のMSが迫る
『だめだよっ』
『やらせないもんっ』
声と同時に敵MSの両手が消し飛ぶ
ここまでの射撃ができるのは
「うぐぅ…なんとか」
「間に合ったよ〜」
遠距離からの狙撃で確実に敵をしとめてきた名雪達だった
敵は減ってきているとはいえ今だその数は多い
さすがに少しづつでもダメージが溜まっていく
〜祐一サイド〜
「もうすぐ…っ!?」
祐一は軌道を変え、横から飛来するビームを避ける
「…祐一?」
舞を降ろし祐一はフォトンライフルを構える
「舞、先に行け。みんなを手助けしてこい」
「でも…」
「早くっ!」
舞は祐一の叫びに従い一人進む
「俺のカンが正しければ、強敵だ…」
「ほう、一人で残るとは、余裕か?」
「っ!?」
森の中から2体のガンダムMK−�Uが出てくる
「データとエネルギー量が違います。かなりの改造が施されているようです」
キャニーの分析が響く
「観察させてもらったが良い腕だ。惜しいな、
我らがティターンズに入らないか? 望むなら処分は免除してやろう」
一方のガンダムから金髪の青年による通信が入る
「いやだね」
俺は即答する
「なんだと?」
金髪は意外そうな顔をする
「へっ、俺はそこまで落ちぶれちゃいない…自分の居場所ぐらい自分で決めるっ!」
叫んで俺はゼロを加速させ間合いを取る
「それが答えか、わかった。いくぞカクリコンっ!」
金髪はもう一方のパイロットの名を呼びバズーカを撃ってくる
「ぐはっ! 当たる!?」
絶妙な連携は避けたはずのゼロにいくつもヒットする
ゼロのシールドを突き破り、勢いを失いながらも確実にダメージが残る
「ほらほら、どうしたっ!」
「なめるなっ! 切り裂け、チャクラム・ソードっ!」
両肩からチャクラムを放ち迎撃しようとする
「それは既に見させてもらった。効かんっ!」
「しまったっ!?」
金髪はビームサーベルで有線を切り裂く
コントロールを失ったチャクラムはそばの木に刺さった
「終わりだな…」
発射の硬直を狙われた俺はどうすることもできない
「俺の奇跡もここまでか」
俺は死を覚悟した
「相沢っ!!」
「え?」
俺の目の前でカクリコンのMK−�Uが吹っ飛び、そのまま流れるような動作で
謎の機体のこぶしがマシンガンのように叩き込まれ戦闘不能に陥れた
MK−�Uの代わりにその場にいたのは往人さんの機体によく似たものだった
けど、この声は…
「よくもカクリコンをっ!」
金髪が怒りに声を荒げて突っ込む
ガンダムのライフルが直撃する
「そんなものじゃこの弐式は落ちないぜ。覚悟っ!」
声と共に謎の機体の手に薄い刃が生まれる
「瞬殺っ!!」
すれ違いざまに放たれた一撃はガンダムを斜めに切り裂いていた
「くそっ、こんなはずは…」
金髪は脱出ポットで飛び去っていった
「ふう、大丈夫か?」
「やっぱり、北川っ!!」
モニターに映ったのはいつもの笑顔の北川だった
「話は後、急いでるんだろ?」
「ああ、行こう」
二人は加速し、既に見えているグレイファントムへ向かった
〜グレイファントムサイド〜
「準備が完了した。脱出する」
ハットの声に続きミデアが全速で飛び立つ
「了解。みなさん、最後です。全砲門開けっ!発射っ!!」
グレイファントムから最大級の光の奔流が敵部隊へと襲いかかる
「良いぞ、出してくれっ!」
「相沢さんっ!? わかりました。グレイファントム全速後退っ!」
北川と共にグレイファントムの艦橋にたどり着いた祐一は
名雪達と一緒に敵を狙い撃つ
「しつこいな、ほらよっ!!」
北川の機体からいくつものカプセルが飛び出る
「香里、アレを撃ちぬいてくれ」
「わかったわ」
北川に従い香里が撃ちぬくと
辺りが膨大な量の煙に包まれる
「煙幕?」
「そう、ビームかく乱膜、ミノフスキー粒子もろもろを詰めこんだ
秋子さん特製の逸品さ」
俺のつぶやきに北川はモニターの中で微笑んだ
突然のことに敵は混乱し、追っ手を振り切ることに成功する
「ありがとう、諸君。我々はこれからカラバという反地球連邦組織、
エゥーゴの支援組織に身を寄せようと思う」
「ご無事で」
美汐がそう言う
「君達もな、そうそう、これを持っていたまえ」
ハットさんのミデアからデータが送られてくる
「さっきの戦闘の記録だ。『連邦を攻撃するティターンズ』のな…
敵も馬鹿ではない。逃した以上なんらかの手を打ってくるだろう。
これはその手を一つ潰せるはずだ」
確かに、これがあれば俺達が反乱を起こしたというデマを広めることはできない
「ではここで別れよう。また会える日を祈って」
そこでハットさんとの通信は切れた
「さて、北川君、説明して?」
香里が北川に詰め寄る
「ああ、俺達の町にミデアが落ちて日以来、学校に来なかったろ?
で、水瀬さんの家に行ったんだよ。美坂ん家にもな。
何回か通って困り果てたところで秋子さんが水瀬のうちに入るのを
見つけたんで居場所を聞いたんだよ」
「それでどうしたんだ?」
俺は聞く
「そこでみんなが軍人になったことを聞いた。
『俺も美坂の手伝いがしたい』って言ったら
秋子さんが『了承』って言って気がついたら弐式の
訓練を受けてたんだ」
「弐式ってこれか?」
俺はモニターを操作し、MSデッキの機体を映す
「グルンガスト弐式、資料によると量産型を北川さん専用に
カスタマイズ、本来の変形機能を排除した余剰分をもともとは
量産型についていない重力装置と特殊武器の追加に回したようですね」
栞が手元を覗いて言う
「そのうちに秋子さんから通信があって
『ジャブローで合流してください』って連絡されたんで
シャトルに乗ってきたんだがこの艦を見つけたとたん
迎撃されてな、で飛び出たところが」
「俺の目の前だった」
俺は言葉を繋ぐ
「そう言うこと」
北川は息を吐く
「事前に資料を渡されてて相沢のだって
わかってたんで名前を呼べたわけだ」
「結局、北川君はこの部隊に入るんだ?」
名雪がつぶやく
「そう、改めてよろしく。北川軍曹、本日付けで
プロミス・リレーションに配属となります」
俺は北川の手を取る
「祐一、いいか?」
北川と一緒に栞の修理を見に来た俺にマサキが話しかけてきた
「マサキ、どうした?」
「機体も直ったんで俺は自分の用事を済ましに行く」
「そうか、また会えるよな?」
「ああ、気に入ったからなここは…」
マサキはそう言うと懐から笛のようなものを出す
「これは?」
「エーテル通信機、まあどこでも届く電話みたいなもんだ。
どうしても必要になったら呼んでくれ。地球の裏からでも駆け付けるぜ」
「サンキュ、気をつけてな」
「ああ、じゃあなっ!」
マサキはすばやくサイバスターに乗りこみブースターを吹かす
「さあて俺達も手伝うか?」
「そうだな」
二人は肩をまわしながら栞を手伝うべく歩き出す
既に夕日は沈みかけ、空は赤と夜の闇とが
美しいコントラストを生み出していた
続く
次回予告
激戦を乗り越えジャブローを脱出した祐一達
途中で出会う英雄。彼は何を祐一に与え何を感じさせるのか?
次回
〜白い流星〜
あとがき
ユウ「お待たせしました。どこぞの初音ちゃん(謎)の髪型に
似ていなければ出てこなかったであろう北川君の登場です」
北川「今の話、マジか?」
ユウ「8割」
北川「ほとんどかいっ!!」
ユウ「冗談だ、きちんと最初から考えてたぞ」
北川「そうか、よかった。で?俺は強いのか?」
ユウ「ふふふ、聞いて驚けっ!なんと祐一、真琴、北川の
3人が前線になる。つまり、強いっ!!」
北川「やった〜っ!!」
ユウ「T−LINKは使えないが、エースとしてがんばってもらう」
北川「これで自分の手で美坂が守れるんだな?」
ユウ「ああ」
北川「よっしゃ〜っ!」
ユウ「暴走し始めたみたいなのでこの辺で」
ユウ「でわでわ〜♪」