カノン大戦α
〜戦場を駆ける奇跡〜
第十三話
〜落ちてきた流星〜
「艦長、一度極東支部に戻るべきでは?」
「香里さんの言う通りですね。そうしましょうか」
グレイファントムが大西洋を抜け、北米を横断していたとき
アーガマ隊から通信が入った
『無事アムロ達と合流できたようで良かった』
「これからどうしますか?」
美汐が聞く
『そのことだがアムロはいるのか?』
「いるよ、ブライト」
『おおっ、久しぶりだな』
「お互いに老けたな」
『お前ほどじゃないさ。今どこにいる?』
「ヨーロッパカサレリア地方から一度極東支部に戻ろうと北米を通過中だが?」
『…そうか、ちょうど良い。私達もアメリカ西海岸でカラバの部隊と合流予定だ』
「なら、そこで合流か?」
『そうだな…天野艦長、頼めるか?』
「わかりました。場所のデータをください。そこに向いますので」
『了解した。ではまた後で』
〜グレイファントムMSデッキ〜
「やっぱり無理かな? 栞ちゃん…」
「もともとの限界がありますからね…これ以上は無理です」
名雪に栞は答える
何をしていたかといえばジェガン達の出力を上げられないかという相談である
前にも名雪が言ったとおりジェガン達はエネルギーがすぐに尽きる状態で戦っているのだ
「あぅーっ、余分にエネルギーパックを持つのはどう?」
「うぐぅ、それじゃあ動きが鈍くなっちゃうよ?」
「そうね、追加武装を余り使わずに、元の武装でがんばるのが一番じゃないかしら?」
真琴の提案にあゆとクリスさんが答える
「ま、佐祐理さんと舞以外はあまり影響が無いだろ」
俺はつぶやく
「あぅーっ、真琴のは運動性を高めてあるから消費が激しいのよっ!」
「うぐぅ、ボクのだってたくさん弾を積んでるし、いろいろ大変なんだよ?」
「…そうだったな…」
名雪の機体もかなりエネルギーを食うからな…
「いいよね、祐一はそんな心配無いんでしょう?」
「そうでもないんじゃないか? 相沢の機体は前回結構ぎりぎりだったし」
真琴に北川が答える
「そうよね、無理をすればさすがにきついんじゃないかしら?」
香里も続く
「あははーっ、次に支部へ戻ったら何とかしてもらいましょうか?」
「…賛成」
「よしっ、美汐に伝えてこよう…あれ? そういえば名雪はどこだ?」
「ボクは知らないよ? 真琴ちゃん知らないかな?」
「あぅーっ、訓練するって言ってたけど…」
「そっか、俺はブリッジに行って来る」
「あっ、私も行くわ」
俺はクリスさんと共にブリッジへと足を運ぶ
〜グレイファントム仮想シミュレーター区画〜
名雪はウッソと射撃戦の訓練をしていた
『名雪さん、行きますよ』
「いつでも良いよ、ウッソ君」
名雪の声に答えてウッソのVガンダムが彼方から近づいてくる
「スコープ用意…当てるよっ!」
スコープをのぞきこみ、名雪は叫んでトリガーを引く
『まっすぐじゃ当たりませんよ』
ウッソはそれをしっかりと避ける
「う〜、外れちゃったよ…でもまだだよっ!」
名雪の腕がぶれるように動く
『またまっすぐ…っ!? 三本っ!? うわぁっ!』
名雪のジェガンが放ったスナイパーライフルは一発ではなく、
3発の弾を射線とタイミングをずらしながら撃っていたのだ
数秒に満たない間に放たれたライフルは2発目、3発目と直撃する
「やったよっ♪」
名雪はガッツポーズを取って筐体から出た
「まさかあんな風に撃ってくるなんて思いませんでした」
「でも止まりながらじゃ役に立たないから…」
「名雪さんなら動きながらでも出来るようになりますよ」
「NTの勘?」
名雪がウッソに聞き返す
「そんなんじゃありませんよ。僕自身の予想です」
「そっか、うんっ♪ がんばる」
「じゃあ続けますか? 今度は動きながら撃てる様にチャレンジしますか?」
「そうだね」
二人は再び筐体に向う
〜ブリッジ〜
「合流?」
「はい、アーガマ部隊と西海岸で合流です」
「わかった。後どれぐらいだ?」
「妨害も無いからな、もう間もなくだろう」
俺に答えた大尉のセリフを遮るようにサイレンが響いた
「何事ですか?」
美汐の声が響く
「大気圏外から未確認物体が降下してきます」
「物体? 隕石か?」
「わかりません。ですがこのエネルギー反応からMSに近いものです」
大尉にオペレーターが答える
「MS? 大尉、単独で大気圏降下ができる機体なんてありましたっけ?」
「俺は聞いたことが無いな…だがこの反応はMSぐらいしかないだろうな」
俺に答えながら大尉はつぶやく
「その機体の降下地点は?」
「…アーガマ部隊との合流地点のすぐそばです」
自身の質問の返答に美汐が表情を引き締める
「そうですか…相沢さん。戦闘配置についていてもらえますか?」
「ああ…念のためだな」
MSデッキに行こうとした俺を押しとどめるように報告が響く
「艦長っ! 先のMSが降下予定の地点でロームフェラ財団所属のMSが
展開を始めています。どうしますか?」
「ロームフェラ?」
聞きなれない名前に俺が疑問を発する
「最近力をつけてきた財団さ。私有のMS部隊を持っているらしい」
「私有で!?」
俺は驚く
「敵対してるわけではないがね」
「急いだ方が良さそうですね。機関部出力全開っ! 調査も兼ねてその機体の降下予定地点に向います」
美汐の号令に答えてグレイファントムは加速を始める
「大尉とクリス少尉は財団との交渉のために残ってもらえますか? 私達には向かないので…」
美汐の提案に二人は頷いた
『祐一さん、ロームフェラの部隊と未確認のMSが戦闘を始めました』
「始まったかっ! 相沢祐一…ゼロ、出るっ!」
「沢渡真琴、ジェガンカスタム…出るわよっ」
「えと、月宮あゆ、ジェガンカスタム、出るよっ!」
「美坂栞、ジェガン改、行きますっ!」
「美坂香里、ジェガン改、行くわ…」
「みんな、ふぁいとっ、だよ。 水瀬名雪、ジェガンカスタム、行くよっ!」
「あははーっ、倉田佐祐理、ジェガンカスタム、出ますね〜」
「川澄舞、ジェガンカスタム…出撃…」
「北川潤、弐式…出るぜっ!」
「ウッソ、ヴィクトリー…出ますっ!」
俺と北川、ウッソの3人はそのまま、後はドダイにその身を乗せて空へと飛び出る
しばらくして海岸線が見えてきた
「っ!? 避けてくださいっ!」
ウッソの叫びに全員が最大加速でその場から一気に離れる
轟音、迫り来る光
「ぐはっ! 今のはなんだ?」
「恐らくはとてつもない高出力のビームだと思われます」
コックピットにキャニーの声が響く
「ビーム!? あの凄さでか?」
まともに食らっていたら塵も残らないであろう出力を持っているはずだ
「祐一君っ! アレじゃない?」
あゆの声に映像を拡大させると傷だらけになったガンダムと真っ白な機体、
後は数種のMS達が映った
「ガンダムタイプ!? 相沢っ!」
「キャニー、データは?」
「周囲にいる機体は褐色がリーオー、青いのがエアリーズです。
ガンダムタイプについては適合データありません…ただ…」
「ただ?」
「はい、対峙しているあの白い機体、以前ハッキングした連邦の兵器データにありました」
ハッキング? 物騒だな…時々反応が無いと思ったらこんなことしてたのか・・・
「それはともかく何がわかったんだ?」
「はい、名前はトールギス、その乗り手を無視した設計のために封印されたとなっているんですが・・
その機体に、あのガンダムタイプは類似点を持っています」
「祐一〜、あのガンダムがどこかへ行っちゃうよ?」
「なんだって!?」
俺が視線を戻したときには謎のガンダムは鳥のようなMA形態に変形して飛び去っていくところだった
〜少し前〜
『無駄に命を落とさずに投降したらどうだ?』
「…断る」
謎のガンダムのパイロット、ヒイロ=ユイはトールギスを駆るゼクスに答える
『強情だな』
(このガンダムの元になった機体か…苦戦は必死か…ん?
任務変更? 一時撤退して到着する極東支部部隊の戦力を見極めろ?)
確かに近づく戦艦の反応がある
(ゼクス達と戦わせることで力量を測るのか・・・)
「任務、了解…撤退する」
ヒイロはすばやく操縦桿を操作し、バード形態に変形しその場から脱出する
「逃げた…接近する部隊?…あの部隊か」
ゼクスはトールギスの向きを変える
「相沢さん、トールギスから通信が入っています」
「わかった」
モニターに仮面をかぶった一人の男が映った
『私の名はゼクス=マーキス、単刀直入に言おう。
今すぐに武装を解除して投降したまえ』
「なぜです? 佐祐理たちにはそんなことを言われる理由がありませんよ?」
『君達は何もわかっていないようだな。自分たちがいかに危険な存在か」
「うぐぅ、ボク達が危険?」
『表向きは軍属とはいえ元民間人、しかもまだ新人が最新装備を持ち、
なおかつ出会った敵にことごとく勝ってきている。正規の軍の面目は丸つぶれだ。
ジャブローの顛末は聞いている。君達がその気になれば今の連邦のほとんどの部隊は相手にならないだろう』
ゼクスはそこで一旦言葉を切り
『わかるだろう? 君達は危険なのだ。戦いの意味も理解しない子供が戦艦を持ち
一個小隊として地球上を徘徊している。いつ反乱するかも知れない部隊、脅威なのだよ、君達は』
「俺達は自分が守りたいと思うものを守るために戦っている。そんな反乱なんて・・」
『それは我々プロの軍人に任せておけば良い』
俺はその言葉にカッと来た
「任せろだって? 俺は嫌だね、自分にそれが出来る力があるのに何もしないなんて」
蘇るあの光景…俺はもうあんなことは起きて欲しくない
「祐一…」
「祐一君」
名雪とあゆが心配そうな顔をする
『それが答えか…ならばしかたが無い』
「1つ聞いても良いかな?」
黙っていた大尉が発言する
『あなたはアムロか…何を聞きたいのです?』
「君はいつまで仮面をかぶりつづけるんだい?」
『それはあなたには関係無いだろうっ! なぜそんなことを聞く?』
大尉の言葉にゼクスが叫ぶ
「知り合いに同じような人がいてね、彼はマスクで己の本心を押し隠していた。
君は何を隠しているんだ? このままロームフェラにいて良いのか迷ってるんじゃないのか?」
『ばかなことを…』
ゼクスからの通信は途絶えた
「敵の増援が海上からこちらに十機ほど向ってきています。
飛行形態であることからロームフェラの主力MSの1つ、トーラスでしょう」
「そうか、俺はゼクスの相手をする。みんなは他のMSを頼む」
「無理はするなよ、相沢」
「あははーっ、任せてください」
「…気をつけて」
「私はトールギスの周りにいるMSの相手をするよ」
「あっ、真琴も〜」
「僕はエアリーズのうち、動きの違う相手を」
「じゃあ、行くぞっ!」
俺はミノフスキードライブの出力を上げる
後に名雪と真琴に加え、ウッソが続く
他のみんなもそれぞれの相手に向っていった
「六機と四機ですか…香里さん、六機のほうはお願いします」
「わかったわ。行くわよっ、栞、北川君っ!」
「がんばりましょう、お姉ちゃん」
「おうよ、任せろ」
「…行きますよ、あゆさん、舞」
「うぐぅ、がんばるよ」
「…来るっ」
トーラスからのビームカノンが飛来する
「行きますよ、みなさんっ!」
全員が散開する
「潤さん、お姉ちゃん。援護しますから存分にやっちゃってください」
「そうね…北川君、前衛は頼めるかしら?」
「任せろっ、弐式は丈夫だからな」
「お願いね。見えたわ…さあ生きて帰るわよっ!」
香里は叫んでけん制のライフルを数発撃ち込む
トーラスはMA形態のままで攻撃を避け、三機づつ左右に別れた
「遅いですよっ!」
栞のライフルは確実に香里の攻撃を避けた右方向のトーラスに迫る
翼部分に直撃を受けて1機のトーラスがバランスを崩した
「おらおらぁっ! 香里は傷つけさせないぜっ!」
北川がその隙を見逃さずに弐式で接近し、乱打を叩きこむ
「これで…吹っ飛べっ!」
とどめの蹴りが入り、そのトーラスは海中へと消えた
「北川君っ!!」
「グラビティ・ウォールっ!」
香里の叫びにすぐさま北川は重力制御で壁を作る
北川の後ろから放たれた二条のビームカノンはその壁に阻まれて霧散した
「後ろからとは卑怯ですよ。…これ言ってみたかったんです」
栞はしゃべりながらも二機のトーラスにグレネードを放つ
隙をつかれたトーラスは機関部に直撃を受ける
「落としてみせるわっ!」
香里のライフルによる追い討ちが決まりトーラスは推力を失って墜落する。
香里の方は残り三機となった
空中では接近戦がしにくいために射撃中心となる所だが…
「香里、援護頼む」
「ええ。栞、合わせるわよ」
「わかったよ、お姉ちゃん」
「行くぜ…グラビコンシステム起動…」
北川の声に答えて弐式は咆哮するかのように機体を震わせ、
その右手に原子一個にも満たない厚さの刃が現れる
「必殺、計都瞬殺剣っ!」
両手でそれを構えて弐式が三機のうち中央へ急加速をする
無謀なほどの加速による搭乗者にかかるGはグラビコンシステムによって相殺、かつ推進に使っている
「栞っ! 左をお願いっ!」
香里は叫んで向って右にいるトーラスに連続でグレネードを放つ
「うんっ!」
栞も答えて同じくグレネードを放つ
続く爆音、そして…
「行ったわよ、北川君っ!!」
「よっしゃぁっ!!」
それぞれグレネードの爆風で左右からはじかれた二機のトーラスは
中央のトーラスの奥へ押しやられ、直線状に並んでしまう
「グラビコンシステム最大出力…いっけーーっ!!」
一番前のトーラスを両断した後、北川は剣を投げる
圧縮された重力場の剣が、死を振り撒く刃となって離れた二機のトーラスをまとめて正面から切り裂いた
爆音すらも飲み込む重力場…
「終わったぜ」
「あっちも終わったみたいね」
「行きましょう」
3人は機体を仲間たちの元へと向かわせる
〜佐祐理サイド〜
「防御は任せてくださいね」
「うんっ、当てるよっ!」
「…相手は飛行形態。飛べないようにするだけでも勝てる」
「そっか…だったらこれだよっ!」
あゆが戦いの口火を切った
あゆの機体のバックパックからいくつものグレネードが放たれる
トーラス達はビームカノンでそれを撃ち抜いた
爆音、だが…
「今だよっ、ビームは使えないからっ!」
あゆが叫ぶ
あゆの放ったグレネードにはビーム撹乱膜用の材料が詰まっていた
周囲が撹乱膜に包まれる
「……決めるっ!」
舞が背中にあるギガ・ブースター、通常のものよりもGがきつい分加速は申し分無いそれを吹かして
ドダイから飛び立ち、トーラス達の上空へと上昇する
両腕に通常のビームサーベルを持ち、舞い降りながら近くの一機に迫る
「動力部がわかりやすい…」
上から眺めるトーラスは弱点をさらしていた
「はっ!」
舞は勢い良く動力部分を切り裂き、慣性を殺しながらGに耐え、
海面近くから上昇して別の機体を今度は下から狙う
消費が激しいために長時間は浮かんでいられない
緊張する舞…
「データ通りならビームしか持っていないんだよねっ、ボク達の勝ちだよっ!」
あゆはニ連ミサイルを残った三機へと撃ちこむ
「そうですよ〜」
佐祐理も続いてタイミングをずらしながら同じようにグレネードを放つ
辛くも避けれたものの、トーラスは舞に隙を見せてしまった
「こういう時は離れた方が良い…」
敵に助言するようにつぶやいて舞はサーベルを収め、メガ・ビームサーベルを伸ばす
「…せいっ!」
下から斜めに駆け抜けて同じように一機を2つに切り裂く
動きの鈍った二機はあゆのミサイルが直撃し、墜落する
「…終わった…」
「よかった〜、成功して」
「あははーっ、行きましょう」
祐一を心配して3人はドダイを加速させる
〜祐一サイド〜
「エアリーズよりミサイル群来ますっ!」
「名雪っ、援護してね」
「わかったよ〜」
真琴はショットナパームを、名雪はスナイパーライフルを構える
「拡散モード…今っ!」
「高速連射で行くよ〜」
無数のミサイルに向ってナパームとライフルが次々と直撃する
響く爆音、迫る爆風
「ウッソ、今だっ。名雪、真琴、ここは任せたぞっ!」
合間を縫って加速しながら俺は二人に叫ぶ
「あぅーっ、がんばる」
「祐一も気をつけてね」
二人の声を聞きながらゼクスに迫る
ウッソも動きの違う1機のエアリーズへと向った
『子供!?』
ウッソに通信を繋いだパイロットは驚いている
「子供だからってなめないでくださいっ!」
同じく女性が映ったことに驚きながらもウッソはすばやくビームライフルを撃つ
エアリーズはその機動性を活かしてそれを避ける
『ゼクスの邪魔はさせないっ!』
相手から迫るチェーンガンが確実にヒットする
「うわぁ…速いっ」
ウッソは焦りながらも致命傷をさける
『詰まった!?』
相手の声が響く。チェーンガンが弾詰まりを起こしたようだ
「今だっ!」
動きが止まったのを見逃さずにウッソはブーツを相手にぶつける
爆音と同時に墜落するエアリーズ
『くっ! 子供にやられるとは…』
悔しそうな声が響く
「さて、グレイファントムに戻らなくちゃ…」
ウッソはハンガー状態のヴィクトリーを操作して帰還した
「名雪、空はお願い」
「了解だよっ」
真琴は機体を加速させて地上のリーオーに迫る
リーオー達は慌てて実弾ライフルを撃ってきた
「甘いのよっ!」
真琴はその軌道を読み取って確実に避ける
「落ちてっ!」
サーベルを抜き放って一機のリーオーの頭部を斬り飛ばす
後ろに飛びずさりながら脚部をライフルで撃ちぬいて行動不能にする
奥にいた一機が祐一の方にライフルを向けた
「祐一は、やらせないんだからっ!!」
真琴は叫んでナパームを撃つ
拡散モードのままだったナパームがリーオーを襲い、
全身に損傷を受けて爆発はしなかったがその場に崩れ落ちた
「次は誰っ?」
真琴は気合を入れて叫ぶ
「訓練したのは無駄じゃないよ…そこっ!」
名雪の正確な射撃は数機のエアリーズの下半身と翼部を撃ちぬきバランスを崩した
「動きながら…撃つっ!」
飛び来るチェーンガンやミサイルを避けながら狙いを定める
密集していたエアリーズのうち1機のミサイル格納部分に直撃する
爆発と誘爆、そのエアリーズは自らの装備によって滅びを向えた
『良い仲間を持っているな…』
次々と倒される自分の味方を見てゼクスがつぶやく
「まあな、勝負だっ!」
当てるつもりのフォトンライフルが全て避けられた
「速いっ!? くそっ!」
ゼクスの機体は高出力のブースターによって破格の機動性を持っていた
焦る俺の横をあっさりと取られる
『機体が惜しいからな、爆発はさせない』
「なめるなっ! 高速機動モードっ!」
ゼロ本来のブースターとミノフスキードライブが出力を上げ、ゼロはトールギスから間合いを取る
「キャニーっ! 敵の武装をっ!」
「データ通りならアブソリュートシールドでも防ぎきれない出力を持ったドーパーガンと通常のビームサーベルです」
「あの背中に背負ってるのがそうか・・・ならっ!」
撃たれる前に相手の懐に入って決めてやる
「チャクラム・ソードっ!」
本来は叫ばなくてもいいのだがイメージが鮮明になるので俺は武装名を良く叫ぶ
チャクラムを右肩から出し、掴んだ右手の中でブレード状に刃を形成する
空気抵抗でぶれるゼロを必死で支えながら高速でトールギスに迫る
『接近戦か、受けてたとうっ!』
トールギスもサーベルを構えて突っ込んできた
組み合っては間合を取り、幾度と無くぶつかり合う二人、
『良いパワーだな』
「俺にだって戦う覚悟ぐらいはある。捕獲しようなんて甘いこと言ってると負けるぞっ!」
『よかろう、お前の覚悟は受け取った。勝負だ』
両者のサーベルが噛み合いスパークが散る
はじかれるようにして俺は後ろに下がった
「まだまだぁっ」
体勢を立て直して再び近づく
『斬り合うだけが戦いではない、今は決闘ではないのだよ』
ゼクスはつぶやくとトールギスにドーパーガンを構えさせた
「祐一さん、避けてくださいっ!」
「アブソリュートシールド収束っ!」
キャニーの悲鳴を無視して俺は前方にシールドを収束させる
トールギスのドーパーガンから放たれたエネルギーがシールドに接触する
あたりは閃光に満ちた
〜出撃前〜
「シールドを構成している物ですか? 祐一さんの念動力ですよ」
コックピットに入った俺は気になっていたことをキャニーに聞いてみた
「なんで丸い形なんだ?」
「人が恐怖から身を守ろうとするときには全身を包み込むイメージを作ることが多いんです。
だからゼロも祐一さんのイメージから円形のシールドを作り出すんですよ」
「ふ〜ん・・・じゃあ俺の意思で形を変えたりできるのか?」
「可能です。前方のみに収束したりといったことができますよ。
そうすれば防御力を高めたりもできます。もちろん他の部分は無防備ですけど・・・」
「防いだ!? 祐一さん・・・」
キャニーの呆然とした表情を見て俺は言う
「まだだっ、相手が落ちたわけじゃない」
スパークの余波でドーパーガンを取り落とした所まではわかったがあとは
光で見えなかった。膨大な量の発光のせいでモニターの調子が悪い
「どこだっ!・・・後ろっ!? しまったっ!」
俺はゼクスの意思を感じて後ろにいることを悟った
『甘いな、落とさせてもらおうっ!』
残された武器であるサーベルで斬りかかるぜクス
「こんな所で負けるわけにはいかないっ!」
俺はゼロのブースターを左側だけ全開にしてそれを右方向へと吹かす
『なにっ!?』
一瞬にして180度回転し、正面から向き合う形になる
「落ちろっ!」
回転の勢いを残したままチャクラム・ソードで斬りかかる
ゼクスもサーベルを繰り出し、再び噛み合う
「チャクラムは二つあるんだっ!」
俺は噛み合ったまま左肩のチャクラムを撃ち出す
それはトールギスの右肩を本体から分断した
『ちぃっ! これほどの力を持ちながらなぜ我々に従わんっ』
「言っただろ、俺は自分が決めた相手を守るために力を使うんだよっ!」
『また・・・会うのだろうな。さらばだっ!』
ゼクスはトールギスのブースターを吹かして戦線から離脱していった
「終わった・・・か?」
集まってくるみんなを眺めながらつぶやく
『まだですよ、祐一さん』
「美汐、次はどいつだ?」
『未確認部隊です。メギロードがいるところを見ると外宇宙から来たという存在ですね』
美汐から敵の映像が届く
「あれは・・・ハバクク!? 量産型ですが火力重視の強力な機体です」
『キャニーさん、なぜそんなことがわかるんですか?』
美汐が驚いた顔で質問する。
そう、前あいつらの部隊に会った時にはそんな風に詳しいデータは無かったはずだ
「それは・・・ハッキングしたデータの中に…」
キャニーの顔が曇る
「本当のことを言ってくれ…」
「祐一さん…今は…まだ」
その瞬間俺は悟った、キャニーがただのT−LINKシステム開発中に作られたAIではないことに…
「いつかは話してくれるんだよな?」
「はい、祐一さんの力が私の見込んだ通りならいつか、必ず」
キャニーの瞳は澄んでいた。ホログラフ越しでも伝わる真剣な思い・・・
「わかった・・・行くぞ、キャニー」
「・・・はいっ!」
俺の言葉にキャニーは明るく答える
細かいことは関係無い、キャニーは俺たちの仲間だ
俺たちのほうに迫る敵軍団に横合いから戦艦の砲撃がいくつも突き刺さる
「アーガマ? 来てくれたのかっ!」
アーガマから1機のPT(パーソナルトルーパー)が出撃した。
往人さんのグルンガスト零式だ
『祐一っ、生きてるか?』
「ええ、なんとか…」
往人さんに答える
「祐一、私達は補給に帰るね」
先ほどの戦いで弾薬やエネルギーの尽きた名雪達が帰還していった
修理と補給のために栞も戻る
「俺は相沢と一緒に行くぞ」
北川は俺の横に並んで言った
「私は念のためにグレイファントムの直衛をするわ」
香里もグレイファントムへと戻っていった
「行くぞっ、北川」
「おうっ!」
俺達は往人さん達と共に相手に向う
敵はメギロートと碧のやつ、そして…
『また会ったな、少年』
「ヴィレッタ!?」
ハバククに乗っていたのはヴィレッタだった
「知ってるのか、祐一」
「はい、以前戦いました。気をつけてください」
往人さんに答える
『ほう…T−LINKを特化させた二機に加え、一般用にカスタマイズしたEOT搭載兵器か…』
「T−LINKを知ってるっ!? なぜ敵のお前がそんなことを、これは上層部や
機体の搭乗者ぐらいしか知らないことのはずだ」
北川が驚く
『我々にも情報網はある。しかもそれに積んであるEOTはこちらの技術でもあるのだからな』
外宇宙から来た敵に地球内部の情報を知る手段がある?ということは…
「往人さん、もしかして」
「ああ、軍内部に内通者がいるな」
やっぱり…
『お喋りはこれぐらいにしようか』
「ああ・・祐一、ヴィレッタは任せておけっ!」
銀色の髪を揺らせて往人さんはグルンガスト零式を飛行形態に変形させて敵陣を抜ける
向う先はただ1つ、ハバククだ
「北川、どれぐらいいける?」
「そうだな、特に問題は無いぜ」
「わかった。俺は動きの速いメギロートを叩く」
「了解。碧のやつは任せとけ」
親指を立てて微笑む北川に頷いて俺はゼロをさらに上空へと向わせる
「キャニー、セラフィックダイブは?」
「無理ですね。トールギスとの戦いで無茶をしましたからね、エネルギーが足りませんよ」
「ぐはっ! そうか仕方が無いな」
俺はあきらめてフォトンライフルを構える
「疲れたな…さっさと片付けてあゆでもからかうか」
俺は軽口でしゃべりながらも目は真剣なままで一機、一機に狙いを絞る
「そういや最近使ってなかったな…マイクロミサイル射出っ!」
ロックをそのまま流用して攻撃をミサイルに切り替えた
さまざまな軌道を描いてメギロート達にミサイルが突き刺さる
十機ほどのメギロートはスクラップとなって散っていった
「北川は…うぉっ!? やるじゃないか」
俺の視界に最後の一機をマキシブラスターで破壊した北川の弐式が映っていた
〜往人サイド〜
「未知の敵か・・・勝てるか? いや、勝つしかないな」
『お相手願おうか』
ヴィレッタの声に続いて一機から撃たれたとは思えないほどのミサイルが飛んできた
「観鈴に再会するまでにやられるわけにはいかないな」
往人はすばやく手を動かして叫ぶ
「オメガレーザー、GOっ!」
ウィングガストの砲塔部から幾条もの赤い光が零式に当たるミサイルのみを選んで迎撃する。
T−LINKを通して相手の殺気や気合を感じることが出来る以上、慣れれば簡単なことである
殺気の無いものは下手に動かなければ当たらないものだ
爆音と煙が辺りの視界を封じる
「くっ、煙幕が混じっていたのか…」
ミノフスキー粒子でレーダーは撹乱され、有視界も封じられた
おもむろに往人は観鈴に似た人形(観鈴から送られてきた。どうやら遠野の手作りらしい)
を懐から取り出して念を込めて動かす
「(甲高い声で)往人ちん、だぶるぴんちっ!…やめとこう」
往人は人形をしまって零式を人型に戻し、シールドを用意する
「…来たかっ! アブソリュートシールド、オンっ!」
往人の叫びは零式の正面に青空を思わせるような深い蒼色の膜を作り出す
煙の向こうから飛来した攻撃、ハバククのメタリウム・キャノンが零式の直前ではじかれる
『ほう? 今の攻撃を防ぐのか…ならば行くぞっ!』
「無駄だ…」
再び飛来したキャノンを同じように防ごうとした往人だが…
「往人機、被弾っ!!」
「往人さんっ!」
零式のシールドが貫かれ、零式の左腕が消し飛んでいた。
先ほどと違い、本来の出力で放たれたメタリウム・キャノンは軽減したとはいえ十分な威力を持っていた
『油断したな? 青年よ…』
「ああ、今度はこちらから行くぞっ! T−LINKシステムフルコンタクトっ!」
零式の瞳が深く、蒼く輝き出す
「空をも切り裂けっ! 計都煉獄剣っ!!」
北川の瞬殺剣と同じく、限りなく薄い刃が右手に生まれる
違うのは纏うオーラが青紫であり、その源も重力ではなく、念動力だということだ
往人は零式を加速させてハバククに迫る
『速いっ!?』
ヴィレッタは直撃は免れたものの、右腕部分を切り落とされる
「これで終わりにはしないっ、ブーストナックルっ!!」
駆けぬけた後は振り返らなくては斬りかかれない、しかし往人は剣をもったまま
後ろに右腕を振り、腕を撃ち出した
一気に剣を持ったままハバククに迫るブーストナックル、
「はぁぁぁぁっ!!」
往人は念動力を使って腕を操作しながら剣を維持する
―観鈴に生きて再会する―
執念が往人の力を引き出し、自分のものにする実力を与えていた
『なんだとっ!? 脱出するっ!』
ハバククを見事上下に切り裂いた剣は腕ごとその場に落ちる
ヴィレッタは脱出していった
「往人さん、大丈夫ですか?」
「祐一か、なんとかな」
疲労の影が濃い、無理も無いだろう
「アーガマまで送りますよ」
「(きゅぴーん)頼めるか?」
考え事があった往人にはありがたかった
(またか…)
往人は深く考える
T−LINKを高出力で使うたびに浮かぶイメージ、
以前から感じていた翼を持った少女
「地球の空にはいない? 宇宙か?」
少女の視点らしき光景、それは星が散らばる深遠の空間であった
歯車は止まることなく動きつづける、真実に向って
続く
次回予告
戦力の増大を目指し、浩平の元へと向った祐一たち
新兵器の開発が行われているその土地でまた1つ、運命の歯車が回り出す
次回
偶然が導くもの
あとがき
ユウ「みゅ〜っ♪ どうにも止まりがちなカノン大戦α第一三話をお送りします」
真琴「ほんとよね、何でこんなに遅いの?」
ユウ「描写やシナリオが結構難しくて」
真琴「そうよね、ゲームみたいに出てこないからセリフも無い、戦闘にも出ない
なんて人が真琴達にあるといけないものね?」
ユウ「あと私はスパロボの戦闘シーンは疑問を持ってる」
真琴「なんで?」
ユウ「装甲の厚いWガンダムでさえビームの攻撃を受ければ損傷するんだ。
どうして他のMS達はあんなメガ粒子砲を受けても無事なんだ?」
真琴「あぅーっ、真琴に言われても」
ユウ「さらに言えばビームライフルやメガ粒子砲は近くを通るだけでダメージがあるんだぞ?
ゲームみたいにぎりぎりだと避けたことにはなっていないんだ」
ユウ「だから私の作品では斬られればそこは無事じゃすまないし、
ビームコーティングでもしてない限り直撃を食らったらその部分はもうだめ、
蒸発します。と思って書いてる」
真琴「だから一撃で終わったりしてるの?」
ユウ「ああ、そうでもしないと戦艦の主砲並みといわれているガンダムシリーズが持つ
ビームライフル達の威力に疑問が出る」
真琴「じゃあ後半の敵はどうするのよ?」
ユウ「予知的に回避、もしくは軽減」
真琴「シールドで?」
ユウ「ゲームでもそうだが防御してシールドが出るとかなり減らせるんだ」
真琴「まあ、がんばってよ」
ユウ「ああ」
二人『でわでわ〜♪』