今回からは普通にGOっ♪

ちなみに一話直後から…

 

 

 

 

 

 

シスターパニック!?〜七人の妖精編〜


〜初暴走(笑)〜

 

 

「佐祐理…頼みたいことがあるんだけど…」

「わかってますよ。妹達には内緒にしておきますよ。お兄様と佐祐理だけの秘密ですっ♪」

泣き崩れた気恥ずかしさから出た俺の言葉に
佐祐理は口元にかわいらしく指先を持ってきてそう言い返した

「そっか、ありがとう。みんな待ってるのか?」

「ええ、きっと妹達のことですから待っていると思いますよ?」

照れくささを隠すようにして佐祐理の頭をなでる俺にくすぐったさを隠さずに佐祐理は言った

「じゃあ早く行くか」

「そうですね」

佐祐理の差し出してくれたハンカチで顔を拭いて部屋を出る

 

 

 

「よかったぁぁっっ!」

どすっ

「うぉっ!?」

部屋に入った俺を襲ったのは涙を浮かべた真琴のタックルだった

予想もしていなかったので床に尻餅をついてしまった

 

「わわっ、祐一お兄ちゃん、大丈夫?」

「…生きてる?」

「生きてるわいっ」

慌てて声をかけてきた名雪と失礼なことを言う舞

「ほら、真琴」

「あぅー…お兄ちゃん、ごめんなさい」

「今度からは手加減してくれよ?」

しゅんとしている真琴とそれを慰めるようにする美汐

俺が気にしていないと知るとその顔も明るくなる

「私達を待たせたお詫びに今度モデルになってくださいね?」

「うぐぅ…しっ、栞お姉ちゃんが描くの?」

「あっ、失礼ですね〜。そんなこと言うあゆちゃん嫌いですっ」

俺があげたばかりのスケッチブックを抱えて微笑む栞と
怯えたように言うあゆ…どんな絵の腕なんだ?

「寒くないところでな」

とりあえず無難にそう言っておく

「はいはい、料理がまた冷めてしまいますよ」

一度冷えそうになった料理を温めなおしたらしい秋子さんがキッチンから出てくる

「あっ、俺も手伝います」

「祐一さんは座っていてください。あんなに高いものを…」

秋子さんはあゆが抱えるたい焼きぬいぐるみや舞の持つアリクイ等を眺めて言った

「気にしないでくださいよ…まあ安くなかったのは事実ですが…」

それが何であれ、思いがこもってなくては意味が無い

今の俺はそう思えるようになっていた

再び始まる合唱と笑い

 

 

 

「うぐぅ、届かないよ」

テーブルで料理を食べている最中、あゆが必死に手を伸ばして
俺のそばにある皿のから揚げを取ろうとしていた

それも無理は無い…このテーブルの大きさは…異常だ

全員が一緒になって食事をするためだろう。ずいぶんと大きい

ちなみに配置はテーブルを挟んで佐祐理、舞、俺、栞、名雪、
反対側に秋子さん、真琴、美汐、あゆである。

席の配置の際、じゃんけん大会があったのは言うまでも無い

「しょうがないな。ちょっと待ってろ…ほら、あ〜んだ」

食べやすいように小さくわけてやり、箸で掴んであゆのほうへ持っていく

「うぐぅ…恥ずかしいよ」

「食べたいんだろ?」

心の重石が取れた俺は全開だった(謎)

「…あ〜ん」

口を開けたあゆにから揚げを入れようとあゆの口元に寄せる

今にも閉じようとするあゆの口を見た瞬間、箸を引く

がちっ

歯が当たる音がする

「…うぐぅ?…あっ、お兄ちゃんっ!」

お約束をやった俺にあゆがぷんすかと頬を膨らませて叫ぶ

「冗談だ。ほら」

今度はちゃんと入れてやる

もぐもぐとから揚げを食べるあゆ

「うまいか?」

「うんっ、おいしいよ…」

見ているこちらが誘われて微笑んでしまうような笑顔で言うあゆ

つんつん

「ん? どうした、栞?」

栞はそれに答えずじっと俺を見上げる

「…もしかして食べさせて欲しいのか?」

「はいっ」

丁寧にも自分の皿を俺に渡してかわいい口を開ける栞

「あ〜ん」

俺は苦笑しながらもそう言って食べさせてやる

にこやかに大き目のフライドポテトを食べる栞

それを見ていた俺は視線を感じた

ふと見れば、他のみんなもこちらをじっと見ていた

「…はぁ…順番だぞ?」

俺がそう言うと無言で彼女達は首を縦に振った

「あらあら…祐一さん、私も食べさせてもらって良いですか?」

「勘弁してください」

明らかにわかって言っている秋子さんに即効で返す

 

結局みんなに代わる代わる食べさせていったため、
俺はほとんど自分では食べることが出来なかった

その代わり…

 

「うぷっ、もうお腹いっぱいだ…」

「だめですよ。名雪お姉ちゃんがせっかく譲ってくれた順番です。しっかり食べてください」

栞がずずぃっとショートケーキを一欠けら差し出して言ってくる

すでにほとんどの料理は無くなっている

「これは私ががんばって作ったんですよ?…お兄ちゃんは私のケーキを食べたくないんですね?」

少女マンガが好きだという栞は最終兵器を使ってきた

うつむきぎみで視線はは上目、さらにうるうるさせるという三段攻撃であった

 

「ぐはっ…わかってやってるだろ?」

「えぅ〜っ、何でわかったんですか〜?」

あっさり見破られたことに驚く栞

それはともかく、栞のケーキは甘かった…
小麦粉の代わりに砂糖を使ったんじゃないかっていうぐらい…

ちなみにケーキは食べた…当然だろう?

「あら…全部食べちゃったのね。凄いわ」

秋子さんはのほほんと驚いているのかそうでないのかわからないまま微笑んでいた

「そうそう、祐一さん」

「なんです?」

「はい、今日は私が美汐と真琴をお風呂に入れますから栞とあゆをお願いしますね」

…はい?

「という事は髪の毛とかをしっかり洗ってやらなきゃいけないんですね?」

…言わなきゃいけないことは違うだろ、俺…

「よろしくお願いしますね」

「良いですよ。女の子は髪の毛を大事にするものでしょう」

頭が真っ白のままの俺はなぜか常識的に答えていた

……

かぽーん

「ふぅ…気持ち良いな」

俺は湯船につかってそうつぶやいた

おじさんのお風呂好きがこうじて、水瀬家のお風呂は前から巨大な檜風呂だった

家族が多い分、家全体も近所とは一回り違うのだ

栞たちは用意するものがあるらしく、後から入るらしい

隅に見える種類の多いシャンプーやリンスは先に入った佐祐理たちの物なのだろう

『祐一お兄ちゃん、入りますよ〜』

「おう」

栞に気分良く答える俺

がらがら

曇りガラスの風呂のドアが開いてぺたぺたと音がする

「祐一お兄ちゃん、せなかあらってあげるね」

あゆの声にそうか、と返事をしようと振りかえった俺は固まる

「うぐぅ、どうしたの?」

「固まってますね〜」

つんつんと栞につつかれてやっと我に帰る

「はっ…いかんいかん…二人とも…水着は持ってるか?」

「え?…あるよ?」

「はい、ありますけど?」

「次はそれを着て来ような」

俺は笑顔で言う

そう、勿論のこと二人は生まれた姿そのまんまだったのだ

暖まっていないから寒いためにその体は白く、二人の雰囲気と合わさってまさしく妖精のようだ

純粋にかわいい、わしわしと構えた魚の形をしたあゆのスポンジが良く似合っている

「うぐぅ、なんで?」

「えっと、プールみたいで楽しいからですか?」

「そう言うことだ」

俺はその意見に賛成しておく

『祐一さんも好きですねえ』

そんな秋子さんの声が聞こえた気がした

言っておくが手は出さないぞ…言うなれば足長おじさんな気分だからな…

何はともあれ、あゆ達に背を向けて座る

するする

「よいしょっ、よいしょっ」

「滑っちゃいますね〜、よいしょ」

幼い二人には俺の背中も大きいらしく、二人で左右を分担してこすっている

こすっていると言っても力が弱いせいでスポンジが滑り、撫でてるに近いのだが・・・

一生懸命な気持ちが伝わってきて心地よい

しばらくして二人は納得したのか作業をやめてお湯をかけてくれた

「ふぅ…がんばったな」

「うぐぅ…そう?」

「嬉しいですっ♪」

両手で二人の頭をなでてから風呂桶を手にとって言う

「さあ頭を洗わなくちゃな」

二人は頷いてシャンプーハットをかぶる

かぶったまま微笑むその姿を見ると…ぐはっ

敢えて何も言うまい…

その時間は何事も無く過ぎていく

 

ざばぁっ

「肩までちゃんと入れよ」

「うんっ…あっ、祐一お兄ちゃん・・お湯より暖かい…」

「本当ですか?…あっ、本当です〜」

左右から二人がぴとっとくっついてくる

流れる時間…固まる俺

瑞々しい肌は独特の肌触りだ

のぼせてきたのか俺の思考は微妙におかしかった(笑)

「よしっ、10数えたら上がるぞ」

『は〜い』

 

『い〜ち、に〜い、さ〜ん…』

二人の声がお風呂に響く

……

『きゅ〜う、じゅうっ』

「じゃあ上がるか」

そろって湯船からあがって脱衣所に行く

 

「次はばんざいして・・そうそう、じっとしてろよ」

小さい女の子の肌はデリケートだ、ごしごしこするのではなく、
ぽんぽんとタオルを軽く叩きながら拭いていくのが肌には良いのだ

何でこんなこと知ってるかって?

それはおしめから妹の世話をしてきた作者に聞いてくれ

そんな感じで栞、あゆの順に拭いていく

「ところで…俺はどこで寝れば良いんだ?」

二人がパジャマを着終わったところで気がついた

とりあえずリビングに向う

 

「ご苦労様です。佐祐理、祐一さんを寝室に案内してね。私は真琴達を入れてくるから」

「はい、お母様。…お兄様、こちらへどうぞ」

佐祐理に案内されて2階へと上がる

そして一回り大きな部屋で佐祐理の足は止まった

「ここですっ♪」

開け放たれたドアから見えた物は…

部屋の両端にある幾つものタンス

おそらくは一個一個が彼女達の物なのだろう

そして…

「でかいな…」

俺はそうとしか言えなかった

視界に映るのは無意味にでかいベッドだった

「それはそうですよ。お母様と寝る以外はここでみんな寝てるんですから」

…お?

思考が一瞬止まる

ゆっくりとその言葉の意味が浸透していく

「…えっと、つまりは俺も一緒にここ寝るのか?」

「そうですよ?」

どうかしたんですか?と俺を見上げる佐祐理…

その目にはなんの翳りも無い

…はぅ…

秋子さん、親切ですか?

それとも試練ですか?

大事に思ってる彼女達と毎日一緒に寝ろと?

…信用してくださってるんですね?

それに気がついた瞬間、それは一瞬にして俺の中の黒い欲望が消える瞬間だった

状況を理解して俺は何かを吹っ切った顔で…

「そうか…両隣は誰になるんだ?」

この状況を楽しむことにした

「みんなが来るのを待ちます」

にこやかにそう言った佐祐理の背後に気合のオーラが見えた気がした

 

 

『じゃんけんっ…ぽんっ』

いや、こうも合わさった声は珍しいな…

俺は既に暇だった

第一、七人でじゃんけんをやってそう簡単に決まることは多くないだろう

『…ぽんっ…あっ』

「…勝った」

「勝てました」

勝ったのは舞と美汐だった

そして俺を中心に上から見て左に舞、あゆ、佐祐理、
右に美汐、真琴、栞、名雪に決まった

「私はいいよ、どこでも…」

名雪は遠慮気味にそう言ってじゃんけんを途中で辞退したのだ

これまたでかい一枚の布団を各人に用意された毛布をかぶった上に乗せる

「…暖かい…」

ぎゅっ

「そうですね…」

ぎゅっ

左右からパジャマを握られ、さらには腕枕をしながら
(こうすれば左右二人まで良いから、らしい)寝ることになった

(明日の朝…腕が動くと良いな…)

俺はそんなことを思いながら目を閉じた

 

波瀾に満ちた水瀬家の物語はスタートしたばかりだ…

 

続く

 


後書き

ユウ「…(読み返す)ぐはっ…しょっぱなから全開だな…俺…」

佐祐理「あははーっ、本性は隠し様が無いんですよ〜?」

ユウ「痛い所を突いて来るな…次の入浴者は決定だな」

佐祐理「え? お兄様と一緒に入るんですか? 恥ずかしいですよ〜」

ユウ「とか言いながら既に顔が緩んでるじゃないか」

佐祐理「だって…お兄様ですから(ぽっ)」

ユウ「…いや、良いんだけどね…どうせ俺が暴走したら服装は保証しないし…」

佐祐理「それはお兄様でも我慢できないでしょう」

ユウ「ふむ…やはり王道か…まっなるようになるな」

佐祐理「いつもの行き当たりばったりですか?」

ユウ「人聞きの悪いことを言うな(笑)、臨機応変と言え(爆)」

佐祐理「わかりました〜、あっ、時間ですね」

二人『でわでわ〜っ♪』